イギリス旅行記後編、
今回は、世界遺産がテーマです。
そこに立てば当時の息吹が感じられるような古代の遺跡。
今回の旅で訪れたのは “ハドリアヌスの長城” と “バースの浴場” そして “ストーンヘンジ”

約1900年前、ローマの皇帝ハドリアヌスが帝国最北端の境界線として築いた防御壁跡は牧草地が広がる丘の上にありました。
壁石の多くは建築資材として持ち去られ、残されたわずかな壁の内側に放牧された羊が身を寄せていて、近寄っても「ここはあたしの家」とでもいうような眼をして動かず。思わず「お邪魔いたします」と挨拶してしまいました。

当時は砦にも多くの人が住み、商人も行き来して賑やかだったことでしょうが、それでも、どんよりとした空の下、兵士たちは故国を遠く離れてどのような思いを抱いてこの丘の上に立っていたのだろうかとしんみりしました。
イギリスで唯一温泉がわき出る街バースは街全体が世界遺産です。古代から温泉保養地として栄え、今も温泉が湧き出ていてスパもあり、はちみつ色の高級マンションなどが建ち並んでいます。

コロッセオにヒントを得てデザインされた、きれいな半円形の優雅な建物は、18世紀に建てられた“ザ・サーカス”と呼ばれる高級マンション。今でも小型フラットで1室1億円以上、高級タイプになると10億円以上で取引されるとか。

歴史ある保養地だけあってバースはとても優雅な街でした。

それにしても、遠くイギリスまで来ても温泉を探し当て浴場施設を建築するなんて、古のローマ人は日本人に負けず劣らず温泉好きです。
そして、緑の平原の中に静かに立つストーンヘンジ。

近寄るとその大きさに圧倒され、どのような人達が、何のために、どうやってと月並みな疑問しか浮かんできません。
様々な研究チームがいろいろな仮説を立て、解明されている謎もあるようですが、私は全部解明できなくてもいいと思っています。
その方が “宇宙人が建造した” “古代には現代よりもはるかに発達した文明が存在した” 等、妄想が膨らみます。
何千年もの間ここに立ち続け、これからも長い年月を立ち続けるであろうことを思うと、なぜか巨石たちにも心があるような錯覚に陥り、何を見てきたのか、何を思いどのようなことをつぶやいているのかと問いかけたくなります。
数あるイギリスの世界遺産の中には近代のものも。
訪れたソルテアは実業家ソルト氏によってつくられた、紡績・織物工場を中心として800軒以上の最新設備を備えた労働者の為の住宅と学校や集会所、病院、コンサートホール、公園などを配置した計画都市です。

産業革命によって“世界の工場”と呼ばれた当時のイギリスにおいて、工場従業員の平均寿命が19歳という現実を前にして、人道と経営の両面から考えて計画されたとのこと。
「人が健康で尊厳をもって暮らせる環境こそが結果的に生産性を高める」という思想の下つくられたソルテアは、世界の福利厚生や都市計画に大きな影響を与えたそうです。
整然と並ぶ住宅は、リニューアルしながら今も現役です。

ナショナルトラスト発祥の地である湖水地方やコッツウォルズのかわいい村、バラが咲き乱れる庭園も巡り、歴史と自然を堪能できたイギリス。

北海道より北に位置して冬は寒さが厳しく夏は涼しいというイメージでしたが、大英博物館を訪れた日のロンドンは気温33℃。

これまでは真夏でも30℃を超えることがなかったと言われるロンドン故に冷房設備はなく、大きな扇風機にかき回された生温い風を受けながらの鑑賞となりました。

この日はパリも気温が44℃だったとか。地球規模の異常気象を実感した旅行でもありました。









